イチョウ 【 銀杏 】

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東京都新宿区 11月27日・撮影

“生きた化石”は臭い

写真を見ているだけでもプ〜ンと臭ってきそうである。あのウンコのような異臭を放つギンナンの実はいままさに完熟している。思わず「実」と書いてしまったが、裸子植物だから果実はできず、臭いにおいを放つ果肉のような部分もふくめて全体が種子である。
イチョウは、ふつうの植物の尺度からドはずれた怪物のような木である。地球上に裸子植物が繁栄したのは中生代で、そのころは恐竜も闊歩していた。中生代最後の時代である白亜紀、約1億年前には、現在のイチョウにほぼ近い植物が生えていたと考えられている。だから、イチョウはまさに太古の生き残りである。葉の形が扇形というのもめずらしく、葉脈も双子葉類の網状脈でもなければ、単子葉類の平行脈でもなく、葉脈が2つに分かれる二叉分岐になっていて、これまためずらしいのだそうだ。さらに、植物なのに、受粉した花粉から精子がにょろにょろ出てきて胚珠の中の卵細胞と受精するという。かなり原始的な性質を残し、まさに“生きた化石”といえる。
中国原産の落葉高木だが、寺や神社、街路樹だけでなく、思わぬ里山などにも巨木や名木が残っている。大らかな堂々たる樹形が鮮やかな黄葉に染まるのも、秋の深まるこの季節である。
写真は通勤途中の駅前の木なのだが、いくらひもじいからといっても、さすがにぎんなん拾いはできない。

(2004.11.29更新)

 

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